フランス

2006年 フランス パリ

欧州の第三国に留学中、週末にパリを訪れていた際の体験談です。
当時私は片言のフランス語しかわからず、単独でパリ市内を移動しようとしてメトロの駅に入ったものの、方向がよくわからずにきょろきょろと周囲を見回しながら歩いていました。
それは地下鉄構内に入る前の部分で、かなり広々としたスペースがあり、またラッシュアワー後でしたから混雑していたわけでもありません。
普通に歩いているなら、他の乗客と全く触れあわずに移動できる、そんな余裕のある状況でした。なのに、ものすごい勢いで私を横から突き飛ばした人がいるのです。
頭部側面を、肘か何かではり倒したような感触でした。
もんどりうって私は倒れこみ、一瞬視界がぼやけるほどのショックを受けました。
すぐに周囲を見回しても、それらしい人物は見当たりません。
当然、私を助け起こすようなパリジャンも皆無でした。
私は痛さに涙をにじませました。
現在はフランスに暮らして長くなりますが、例えば全く悪気なしに本当に偶然にぶつかってしまったのなら、きちんと助け起こして謝り、大丈夫でしたかと確認するのが「普通のフランス人」です。
その普通のフランス人に言わせれば、このケースはただ私の東洋人的な弱弱しい外観を見て、何かの憂さ晴らしをするべく衝動的な暴力に出た…そういう病的なレイシストによる犯罪だろう、ということです。
昨今のテロ事件に比べれば微々たるものですが、パリと言う町は魅力もあるが危険でもある町であると思うに至った、痛い経験です。