2005年 ドイツベルリン

私は当時、ベルリン市内中心にある日本食レストランで働いていました。先輩の中にひとり、関西出身のガラの悪い男性社員がいました。確かに仕事は出来る人でしたが、東京出身の私にはまず、関西弁に抵抗がありました。何気なく注意されたひとことも、方言を聞きなれていなかったため、ものすごくキツク聞こえたのを覚えています。
その先輩は目つきが鋭く、私服スタイルは革ジャンがメインで、吟味して買い揃えたレアもののシルバーアクセサリーをいくつも身に付け、足元には必ずブーツを履いていました。バーテンダーの経験もありお酒にとても詳しい人でしたから、夜な夜なお洒落なお気に入りのバーを飲み歩いていました。
ある朝、朝礼に先輩の姿がなく、開店前の準備に追われるレストランはザワザワしていました。もともと無断欠勤が目立つ人でしたが、その日はアパートに電話しても連絡が取れませんでした。あきらめかけていた頃、警察から電話があり、先輩が入院保護されていることが分かりました。
話によると、前の晩に暗がりで地元のチンピラに絡まれたらしいのです。迫力ある関西弁と鋭い目つきで威嚇したらしいのですが、複数の相手に取り囲まれてボコられたあげくに金品を奪われたとのことでした。
楽しみや期待の大きな海外旅行ですが、事前にしっかり情報集中をし、高級・派手な服装は避け、身に付けるバッグなども、ブランド品などは避け、カジュアルで地元住民に溶け込むような恰好で出歩く方が、事件に巻き込まれるリスクを回避できるでしょう。先輩の巻き込まれた事件から学んだ教訓は、我々レストランスタッフにとって、とても説得力のある生きた教訓となりました。