トリニダードトバゴ

2006年 トリニダード・トバゴ

当時、トリニダード・トバゴの首都ポート・オブ・スペインの支社で働いていた婚約者を訪ねて、2か月弱の滞在をしました。
カリブ海にあるこの島国は、とても美しい海と熱帯の自然に恵まれたところですが、残念ながら非常に治安の悪い国でもあります。
渡航前にもずいぶん色々な話をネット上で見ていましたし、また現地の日本大使館を訪れた際にも、職員の方から治安や防犯情報についてお話を伺えたので、少し過剰なほどに警戒した生活を送っていました。
車がないなら外出はできない、と婚約者及び周囲の知人たちに言われ、仕方なく自主的な軟禁生活を送っていました。
滞在していたアパートにはセキュリティが配備してありましたが、例えばごみ捨てなどでほんの少し外部部分に出る際にも、車が来ないか不審者が来ないか、よくよく気をつけろと言われていたのです。
というのも、この国では身代金目当ての誘拐事件が日常茶飯事で、地元新聞を読んでも毎日毎日、島内各所でこういった事件が起こっていたのです。
東洋女性は珍しく、婚約者と歩いていても声をかけてくる男性は多くいました。町中を歩いていたある時、ナタを大きく振り回しながら近づく人影があったので、婚約者とともにすぐに方向を変えて、近くにあった商店に逃げ込んだことがあります。
ナタ男はわけのわからないことを叫びながら従来を走っていきましたが、やがてパトカーのサイレンが聞こえてきました。
私たちは慌ててその場を逃げ去りました。翌日の新聞には何も記述はありませんでしたが、この男性もやはりドラッグによる錯乱状態であったのだと思います。
刃傷沙汰がなくて何よりでしたが、今でも思い出すと震え上がる記憶です。