インド

2012年 インドニューデリー

インドで体験した話をします。
2,3年前の話です。私は海外一人旅は初めてでした。
インドを選んだ理由は、沢木耕太郎さんの「深夜特急」の影響で行きたいと思ったからです。
出発前に最初に泊まるホテルを予約しました。
そのホテルは送迎バスつきと書いてあり、私は安心して日本からインドへ向かいました。
当日、ニューデリーのインディラ・ガンジー国際空港に着いたのは午後10時。
そのときまだ最寄の駅まで行く電車が工事で止まっており、動いていませんでした。
しかし、空港に送迎バスが来るとネットには書いていたので、私は送迎バスを探しました。
1時間後見つからず、結局自分の送迎バスはありませんでした。
仕方なく、空港にいた案内人に聞くと
「タクシーがあるからそれに乗れ。」と言うのです。
私が「いくらだ?」と聞きますと、「だいたい250~300ルピー(その当時のレートで、約400~600円ほど)だ。」と答えたのです。
私は、初日だからそういったトラブルもあると思い、致し方なくタクシーを利用しました。
タクシー場に名前を書き、待つこと30分。「come,come」
という男の声が聞こえました。私は自分の番かと思い、彼について行きました。
彼は「どこに行きたいんだ?」と言うので、私はホテルの名前が記載されているメモを見せ、彼は少し首をかしげながら「OK」というのです。
すると彼の周りに人が集まり、なにやらニタニタ母国語で話しているのです。「じゃあ行くぞ」と言い、彼は運転せず、違う運転手が乗り込んできました。
「これタクシーなのか?」私は半分疑いました。
疑う余地もなく、車は走りました。
20分後、急に止まり、彼が言うのです。「タクシー代2500ルピーだ。」と。
私は耳を疑い、250の間違いだと思い、彼に250ルピー渡しました。すると彼は「NO!2500!」と声を荒げて言うのです。
「もし払わないんだったら、ここで降りるか?」と言われ、外を見ると夜中にもかかわらず、車がびゅんびゅんと飛ばし、とてもじゃないけど外に出れません。私がこのインドの街を把握していれば問題なかったのかもしれませんが、初めてでしたのでしぶしぶ2500ルピーを払ってしまいました。
その後、30分が経過していました。気づけば深夜1時です。
すると彼は「着いたぞ。」と言い、見ると自分が予約ホテルとはまったく違うホテルでした。
私は「これは違うぞ!」と声を荒げて言うと、「君のホテルは見当たらなかったんだ、だから俺の知り合いのホテルに連れてきたんだ。ここなら顔が利くから安くなる。」と言うのです。
これがお昼時だったら私は必死に逃げたでしょう。しかし時刻は深夜1時過ぎ。
私は足を震わせながら、そのホテルに行くと7人ほどのインド人が待っていました。
ホテルの支配人らしき男が「ジャパニーズ、1泊2万円だ」と言うのです。私は「そんなの払えない」と言うと、
周りの人が囲み、「この深夜に外を出るのか?デリーの夜は危険だぞ。」と脅すのです。
私は震えながら払いました。
しかしまだ悲劇は待っていたのです。
私が部屋で寝ようとすると、男がついてきて部屋を閉め、
「ここまで送った代金をよこせ」と言うのです。
私は「いや、さっき2500ルピー払っただろう。」と言うと、「あれはお前のホテルを探すためのお金であって、ここまで送った代金は含まれていない。」と言うのです。
私は怒りが心頭し、「NO!Money!You go out!!」と言うと、
彼は私に近づき、「これは俺の街だ。お前は赤の他人だろ?従うのがルールだ。」と言うのです。
私は唖然としました。冷や汗が流れたのを覚えています。

私は2000ルピーほど支払い、彼は去っていきました。
「また明日来るからな。」と言い放ちながら。

私は彼がいなくなった後、足がガクガク震えたことを覚えています。寝ようと思っていても、15分ほどで目を覚まし、彼の最後に言い放った言葉が脳裏から離れませんでした。
時刻は深夜3時すぎ、部屋の窓から外を見ると歩いている人たちがいました。
もしかしたら彼らについていけば、駅につけるかもと思い、私は意を決し、外に出ました。
フロントのインド人に「この時間にどこ行くんだ?」と聞かれましたが、私は無視し、外へ出、歩いている人たちに着いて来ました。
5時間ほどひたすら歩きました。すると駅が見えるではありませんか?私はほっと安堵をし、無事その後インドを旅しました。
これが私の海外旅行で起こった危険な出来事です。