インド

 

インド・チェンナイ 2011年9月

未曾有の大震災から半年後のある日、莫大なエネルギー資源がなければ人間社会は成立しないのかについて私は思い悩んでいました。
その状況をいつも傍で見ていた友人から、インドのオーロビルという場所の存在を教えてもらいました。その場所ではお金を必要としない暮らしを模索する実験場とのことで、一定の条件さえ満たせば居住が許されます。
頭の中で色々な感情が渦を巻いていて仕事が手に付かない状況でしたので、早期退職をして私はインドに飛び立つことを決意しました。
インドまでは飛行機で行き、オーロビルへ行く前の手続きのためにチェンナイまで陸路で移動することになります。チェンナイに到着してから昼食を摂っていたとき、事件が起こりました。
体に密着させるように携行していたスーツケースを、見知らぬインド人に強奪されてしまったのです。その男は私の顔面を殴るような素振りを見せたので、抵抗できないままスーツケースを引き離されてしまいました。
その後で食堂の店員さんに慰められながら聞いた話ですが、スーツケースのために私が抵抗をしていたら刃物で刺されていたかもしれないとのことでした。
インドでは、どんなに大切なものでも強奪をされるような状況では素直に差し出すことが利口だと思います。
結局のところ、必要書類等は全て紛失したので大使館の助けを借りて帰国することになりました。